IPドアホン
IPドアホン(またはIPインターホン、IPインターフォン)とは、従来のドアホンが専用の配線やアナログ回線を使用していたのに対し、インターネットプロトコル(IP)技術とLANケーブル(イーサネット) を利用して音声と映像を伝送するインターホンシステムです。
オフィス、病院、学校、そして特に集合住宅において、高い機能性、柔軟性、そして拡張性から急速に普及が進んでいます。
- 伝送路:従来の2芯線や多芯線ではなく、LANケーブル(Cat5e以上) またはWi-Fiを利用して通信します。
- 通信プロトコル:SIP(Session Initiation Protocol)などのIP電話で使われる技術を利用して、音声・映像データを送受信します。
- 電源供給(PoE):多くの場合、LANケーブルを通じてデータ通信と同時に電力も供給する PoE(Power over Ethernet) に対応しており、配線がシンプルになります。
- 玄関子機(カメラ付):来訪者が操作する、カメラ、マイク、呼び出しボタンを持つ端末。
- 室内親機:居住者が応答・映像確認・解錠を行う端末(タッチパネル式が多い)。
- IP-PBX/サーバー:集合住宅などのシステム全体を制御し、外線やスマートフォンとの連携を管理する核となる装置。
IPドアホンの主要なメリットと機能には、以下が挙げられます。
| メリット | 詳細 |
| 遠隔応答 | 宅内に誰もいない場合でも、スマートフォンなどのモバイル端末で映像を確認し、遠隔で応答・解錠が可能です。 |
| 他のシステムとの連携 | ネットワークベースであるため、防犯カメラ、入退館管理システム、IoT(スマートホーム) など、他のIP機器やシステムと容易に連携できます。 |
| 高画質・高音質 | 伝送帯域が広いため、従来のドアホンに比べ、高精細な映像とクリアな音声で通話が可能です。 |
| 配線の簡素化 | LANケーブル1本でデータと電源を賄えるため(PoE利用時)、配線工事がシンプルで、設置コストや工期が削減できます。 |
| 多機能性 | 応答・解錠だけでなく、宅配ボックスとの連携、IP電話の内線機能、マンション内連絡機能など、多彩な機能を持たせることが可能です。 |
マンションやアパートでは、IPドアホンシステムを導入することで、以下のような付加価値を提供できます。
- セキュリティ向上: 応答履歴の記録、高精細カメラによる訪問者の明確な確認、オートロックシステムとの高度な連携。
- 入居者利便性: 留守中の遠隔対応、宅配便の再配達依頼の手間削減(宅配連携)、スマートフォンアプリによる直感的な操作。
- 将来的な拡張性: 将来のAIカメラやスマートホームサービスを導入する際の通信インフラとして活用できるため、陳腐化しにくい資産となります。
IPドアホンは、単なる来訪者対応ツールではなく、建物のセキュリティと利便性を高めるための次世代コミュニケーションインフラです。
IPドアホンのよくある質問
- 既存の集合住宅にIPドアホンを導入する場合、古いインターホン用の配線をLANケーブルにすべて引き直す必要がありますか?
-
新たにLANケーブルを敷設するのが理想ですが、既設の配線を活用するソリューションもございます。例えば、既存の電話配線や同軸ケーブル配線を利用してIPデータを伝送する「VDSL」や「同軸LAN」の技術を用いることで、大規模な配線工事を回避し、工事費用と工期を大幅に削減できます。現地調査に基づき、最適な方式をご提案します。
- IPネットワーク経由での通話は、音声や映像の遅延が発生して会話がスムーズにいかないことはありませんか?
-
弊社の採用するIPドアホンシステムは、QoS(Quality of Service) という技術により、音声・映像データを最優先で伝送する設計となっています。これにより、他のインターネット通信が混雑していても影響を受けにくく、遅延や途切れのないクリアな通話が可能です。また、IP-PBXの処理能力が高い機器を選定し、システム全体のパフォーマンスを保証します。
- 導入後のシステム管理やアップデートは、入居者や管理会社で専門的な知識**が必要ですか?
-
いいえ、必要ありません。IPドアホンのサーバー管理やファームウェアのアップデートは、すべて弊社の専門チームが遠隔で一括管理いたします。新しい機能の追加やセキュリティパッチの適用なども、お客様の手を煩わせることなく自動で行われますので、専門知識がなくても安心して運用いただけます。
- 集合玄関機に電話会社の外線を引き込み、警備会社や管理センターへ直接連絡できるように連携することは可能ですか?
-
はい、可能です。IPドアホンはIP-PBX(構内交換機)の機能を持っているため、外線との連携が容易です。例えば、集合玄関機で緊急ボタンが押された場合や、異常を検知した際に、あらかじめ設定された外部の電話番号(警備会社など)へ自動で発信し、即座に通報するシステムを構築できます。
- 同じマンション内の住戸間(内線)で通話をしたり、管理室と連絡を取り合ったりする内線機能は利用できますか?
-
はい、IPドアホンシステムの標準機能として、全住戸間の内線通話や、住戸と管理室間の内線通話の機能を提供できます。これは、システムがIP電話網として機能するため実現するものです。内線通話は、通話料がかからず、緊急時の相互連絡やコミュニティ形成にも役立つため、入居者への大きな付加価値となります。
ソリューション別で取扱商品
ネットワークソリューション
ICTコミュニケーション
セキュリティ / 映像監視
マンションISPソリューション
お問い合わせ
お見積もり依頼やご相談がございましたら、お気軽にご相談ください。

