TV受信設備
TV受信設備とは、建物や地域に対して、地上波デジタル放送、BS(衛星放送)、CS(通信衛星放送)などのテレビジョン放送を受信し、各家庭や各部屋に安定した品質で分配するために必要なシステム一式を指します。
特にマンションやアパート、ホテル、病院などの集合住宅・共同施設では、個別のアンテナ設置が難しい、または美観を損ねるため、共同受信システム(共聴システム) として整備されています。
TV受信設備は、以下の放送を適切に受信し、利用者へ供給する役割を担います。
- 地上波デジタル放送 (地デジ):UHF帯の電波で送信される、地域のローカル局や主要なテレビ局の放送。
- BS/CS放送:衛星から送信される放送(BS:無料放送、CS:有料多チャンネル放送)。
- 4K8K放送:超高精細な映像を提供する新しい規格の衛星放送。
また、共同受信システムは、大きく分けて「受信部」「増幅・処理部」「分配・配線部」で構成されます。
| 構成要素の分類 | 具体的な設備・機器 | 役割 |
| 受信部 (アンテナ) | UHFアンテナ、BS/CSアンテナ(パラボラアンテナ) | 空中を飛んでいる電波を受信し、電気信号に変換します。4K8K対応には新しい帯域に対応したアンテナが必要です。 |
| 増幅・処理部 | ブースター(増幅器)、ミキサー/分波器、ヘッドエンド | 受信した微弱な信号を増幅し、ノイズを補正して品質を向上させます。複数の放送信号を一つに混合したり、逆に分離したりする役割も担います。 |
| 分配・配線部 | 分配器、分波器、同軸ケーブル | 信号を建物の各フロアや各部屋へ均等に、かつ信号の減衰を最小限に抑えて送り届けるための配線と接続機器。 |
| 端末 | テレビ端子(壁のコンセント) | 各部屋の壁に設置され、テレビを接続するための出口となります。 |
近年、放送設備の入れ替えや新規導入の際には、以下の規格への対応が重要になります。
4K8K対応:従来のBS/CS放送で使われていた周波数帯域が拡張され、より高い周波数(左旋円偏波)が使われるようになりました。
4K8Kに対応するためには、アンテナだけでなく、信号を増幅・分配するブースター、分配器、分波器などのすべての機器と、配線(ケーブル) も高周波数帯に対応したものに交換する必要があります。
集合住宅では、TV受信設備は光回線と並び、入居者が求める重要なインフラのひとつです。
- 美観維持:各戸がベランダなどにアンテナを設置する必要がなく、建物の外観をきれいに保てます。
- 安定供給:共同で高性能な設備を導入するため、個別の設置よりも天候などの影響を受けにくく、安定した映像品質を提供しやすくなります。
TV受信設備の適切な設計と施工は、安定した映像視聴を保証し、入居者満足度を高める上で非常に重要です。
TV受信設備のよくある質問
- 既存の建物に4K8K対応の受信設備を導入する際、工事の期間や騒音はどの程度発生しますか?
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集合住宅では、配線工事を伴うため、作業内容にもよりますが通常1〜2週間程度の工期を要します。作業の大部分は共用部や各戸の配管内で行われますが、各部屋のテレビ端子の交換作業が入る場合があります。騒音については、極力振動・騒音の少ない工法を選定し、事前に住民の皆様へ工事日程と内容を詳細にお知らせすることで、トラブル防止に努めます。
- TV受信設備の導入後の維持管理(ランニングコスト)として、具体的にどのような費用が発生しますか?
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主に発生するのは、電気代(ブースターや衛星放送受信機などの消費電力)と、定期的な保守・点検費用です。ブースターなどの機器は24時間稼働しますが、消費電力は非常に少ないため電気代は軽微です。機器は屋外設置のアンテナを含め経年劣化するため、定期的な点検と調整を行うことで、突発的な故障によるサービス停止を防ぎ、長期的な安定稼働を確保します。
- 新築マンションにおいて、屋上アンテナを目立たない場所や方法で設置することは可能ですか?
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はい、可能です。建物の美観維持は非常に重要です。アンテナ設置においては、屋上の設備群に目立たないように配置したり、デザイン性の高い小型のアンテナを選定したりします。また、一部の地域では、建物の屋上ではなく共用スペース内の衛星放送受信設備など、外部から見えない方法で設置するソリューションも提案可能です。
- TV受信設備を、既設の光ファイバー(インターネット)設備と統合して配線することは可能ですか?
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はい、光ファイバーにテレビ信号を乗せる**「FTTH-TV」** や**「FTTx方式」** といった統合ソリューションの提案が可能です。テレビ信号とインターネット信号を光ファイバー1本で宅内まで引き込み、宅内でV-ONUという機器を使って分離します。これにより、建物内の配線が大幅にシンプルになり、美観とメンテナンス性が向上します。
- 建物の最上階と最下階でテレビの受信レベル(信号強度)に差が出ないよう、信号品質を均一化するためにどのような機器や設計を行いますか?
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信号品質の均一化は共聴システム設計の最も重要な要素です。弊社では、分配・分岐する箇所にレベル調整機能付きの分配器やブースターを配置し、ケーブル損失や分岐による信号減衰を精密に計算します。特に、最下階のテレビ端子で必要なレベルを確保するため、最適なケーブルの種類と太さを選定し、全戸で規定の受信品質を保証する設計を行います。
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